目次

基本的な疑問(ファクタリングの「これって何?」を解決)

この章では、ファクタリングを検討する際に誰もが最初に抱く疑問に答えます。
「ローンとは何が違うのか」「違法性はないのか」といった不安を解消し、正しく理解するための基礎知識を身につけます。

Q1. そもそもファクタリングとは?ローンや借金と何が違うのですか?

回答:
ファクタリングはローンや借金(負債)ではなく、自社が持つ売掛債権(請求書)を売却して現金化する金融取引です。

解説:
資金調達と聞くと「お金を借りる」というイメージが一般的ですが、ファクタリングは違います。
たとえるなら、会社が所有する営業車や不動産を売却して現金を得るイメージです。
自社が持つ「将来お金を受け取る権利(売掛債権)」をファクタリング会社に売却し、その代金を先に受け取ります。

借金とは異なり、新たな負債が発生しないため、貸借対照表(バランスシート)上の負債は増えません。
これは将来的に銀行融資を受ける際、財務状況を健全に見せられるという大きなメリットになります。

また、ファクタリングは民法第466条「債権の譲渡性」に基づき認められた合法的な取引です。
後ろめたい資金繰りではなく、保有資産を活用してキャッシュフローを改善する先進的な財務戦略といえます。

Q2. ファクタリングは合法?違法なヤミ金ではないか心配です

回答:
ファクタリング自体は完全に合法です。
ただし、ファクタリングを装い、実態は違法な貸付を行うヤミ金業者が存在するため注意が必要です。

解説:
「ファクタリングは怪しい」と言われるのは、ヤミ金業者の存在が原因です。
彼らはファクタリングを名乗りながら、実際は法外な金利でお金を貸し付けています。

合法なファクタリングとヤミ金を見分ける重要なポイントは償還請求権(しょうかんせいきゅうけん)の有無です。
この確認を怠らなければ、違法業者を見抜くことができます。

金融庁も悪質業者に対し、公式に注意喚起を行っています。
つまり、ファクタリング自体が問題なのではなく、それを悪用する業者が問題なのです。
安全に利用するためには、正確な情報を得て、契約内容をしっかり確認することが不可欠です。

Q3. ファクタリングはなぜ手数料が高いと言われるのですか?

回答:
銀行融資より手数料が高い理由は、スピードリスク負担という2つの要素にあります。

解説:
手数料は単なる費用ではなく、銀行では得られない価値への対価です。

  1. スピードへの対価
    銀行融資は審査に数週間~1か月以上かかりますが、ファクタリングは最短即日で資金化できます。
    この迅速さを支えるために高度な審査体制とオペレーションが必要で、そのコストが手数料に含まれます。
  2. 信用リスクの負担
    ノンリコース契約(償還請求権なし)の場合、取引先が倒産しても損失はファクタリング会社が負担します。
    この「貸し倒れリスク引き受け」の対価が手数料に含まれるのです。

一般的な手数料の目安は以下の通りです。

契約形態手数料の相場
2社間ファクタリング8%~18%
3社間ファクタリング2%~9%

手数料を支払うことで、「時間」と「リスクからの解放」という価値を得られます。

Q4. ファクタリングは信用情報に影響しますか?

回答:
影響はありません。
ファクタリングは借入ではなく資産の売却なので、信用情報機関(JICCやCICなど)に記録は残りません。

解説:
信用情報機関が記録するのはローンやクレジットなど返済義務を伴う借金です。
ファクタリングは資産を売却する取引のため記録対象外となります。
そのため、将来の融資にも影響せず、信用情報をクリーンに保ったまま資金繰りを改善できます。

Q5. 2社間と3社間、どちらを選ぶべきですか?

回答:
優先するポイントで選びます。
「スピードと秘匿性」を重視するなら2社間、「コストの安さ」を重視するなら3社間がおすすめです。

項目2社間ファクタリング3社間ファクタリング
手数料高い(8%~18%)安い(2%~9%)
入金スピード速い(最短即日~数日)遅い(数日~数週間)
取引先への通知原則不要必須
主なメリットスピードと秘匿性コスト削減、信頼性
注意点債権譲渡登記のリスク取引先との関係に影響

補足:債権譲渡登記の注意点
2社間では取引先に知られないことがメリットですが、契約内容によっては「債権譲渡登記」が必要になる場合があります。
登記は誰でも閲覧できるため、結果的に取引先に知られてしまう可能性があります。
秘匿性を重視するなら、登記が不要な会社を選びましょう。

利用対象に関する疑問(「私の会社でも使える?」を解決)

この章では「自社の状況でファクタリングを利用できるのか」という具体的な疑問に答えます。
赤字決算や税金滞納、個人事業主といった銀行融資では不利なケースも、ファクタリングなら解決できる可能性があります。

Q6. 個人事業主やフリーランスでも利用できますか?

回答:
はい、多くのファクタリング会社が個人事業主やフリーランスにも対応しています。
オンライン完結型で、数万円規模の請求書でも利用可能なサービスが増えています。

解説:
従来、個人事業主やフリーランスは事業規模や信用の面で融資が難しいとされてきました。
しかし、ファクタリングは売掛債権を売却する仕組みのため、事業規模に関係なく利用可能です。
確定申告を行い、正当な取引に基づく請求書があれば審査を受けられます。

近年ではQuQuMoやlabol(ラボル)など、オンライン完結型でスピーディーな資金化が可能なサービスが人気を集めています。

Q7. 赤字決算や税金滞納、債務超過でも利用できますか?

回答:
はい、利用できる可能性があります。
ファクタリングの審査では、自社の信用力より売掛先(取引先)の信用力が重視されるためです。

解説:
銀行融資では自社の決算や納税状況が厳しく問われます。
一方、ファクタリング会社は「売掛先が期日通りに支払いを行えるか」を重視します。
取引先が上場企業や信用度の高い優良企業であれば、たとえ自社が赤字や債務超過でも審査に通る可能性は高いです。

Q8. 創業1年未満の新しい会社でも申し込めますか?

回答:
はい、利用可能です。
創業間もない企業でも、売掛債権があれば資金調達できます。

解説:
銀行融資では通常、2~3期分の決算書が求められますが、創業初期ではこれが揃いません。
ファクタリングはあくまで売掛債権を評価対象とするため、確実な取引先との請求書があれば利用できます。
スタートアップ企業の初期成長を支える強力な手段です。

Q9. 銀行融資を断られた後でも使えますか?

回答:
はい、問題ありません。
銀行融資の審査結果は、ファクタリングの審査に影響しません。

解説:
銀行は「お金を貸す相手(自社)」の返済能力を見ます。
一方、ファクタリング会社は「売掛金を支払う相手(取引先)」を審査します。
基準が異なるため、銀行で審査に落ちてもファクタリングを諦める必要はありません。

Q10. どのような業種でよく利用されていますか?

回答:
建設業、運送業、IT業、人材派遣業など、支払いサイトが長い業種でよく活用されています。

解説:
これらの業種はキャッシュフローに共通の課題があります。

  • 建設業:工事代金の入金が数か月先になり、資材費や人件費が先行して発生します。
  • 運送業:荷主からの支払いが遅い一方で、燃料費や車両修理費など急な出費が多いです。

ファクタリングはこうした業種で、緊急時だけでなく計画的な資金繰りにも活用されています。

業種ファクタリングのメリット
建設業資材費・人件費の支払いを先行確保
運送業燃料費や車両修理費の急な支出に対応
IT業プロジェクト完了から入金までの空白を補填
人材派遣業給与支払いを安定化させる

仕組みと手続きに関する疑問(「どうやって進めるの?」を解決)

この章では、ファクタリングを利用する際の具体的な流れを解説します。
申し込みから入金までの手順や審査ポイント、必要書類を明確にし、手続きへの不安を解消します。

Q11. 申し込みから入金までの流れを教えてください

回答:
基本的には以下の5つのステップで進みます。

  1. 相談・見積依頼
  2. 申し込み
  3. 必要書類の提出
  4. 審査
  5. 契約締結・入金

解説:

  • 相談・見積依頼:複数社に問い合わせて、手数料や入金スピードを確認します。見積は無料が一般的です。
  • 申し込み:利用する会社を決めたら正式に申し込みます。
  • 必要書類の提出:オンラインでのアップロードが主流です。
  • 審査:売掛先や売掛債権の信頼性を確認します。
  • 契約・入金:審査を通過すると契約を締結し、手数料を差し引いた金額が入金されます。

オンライン完結型では、全工程がウェブ上でスムーズに進みます。

Q12. 審査では何を見られますか?

回答:
審査で最も重視されるのは「売掛先(取引先)の信用力」です。
次に、売掛債権そのものの信頼性が確認されます。

解説:

  • 売掛先の信用力:期日通りに支払いが行われるかを、信用調査機関の情報などで確認します。
    上場企業や大手企業が取引先であれば高く評価されます。
  • 売掛債権の確認:請求書や契約書が本物であるか、二重譲渡されていないかをチェックします。

自社の経営状況も見られますが、審査の決定要因にはなりにくいです。

Q13. 審査は厳しいですか?通過率はどのくらいですか?

回答:
銀行融資よりは通りやすいですが、誰でも通るわけではありません。

解説:
審査通過率は売掛先の信用力に大きく左右されます。

ケース審査結果の目安
売掛先が官公庁・上場企業・優良中小企業通過しやすい
売掛先が設立間もない個人事業主や信用力が低い場合通過が難しい

ファクタリングの審査は「落とすため」ではなく、リスクを測るためのものです。
売掛先が信頼できる企業であれば、通過の可能性は高くなります。

Q14. どのような書類が必要ですか?

回答:
法人か個人事業主かで異なりますが、基本は以下の3種類の書類です。

  1. 本人確認書類
  2. 請求書や契約書など売掛金を証明する書類
  3. 事業実態を示す書類(決算書や確定申告書など)

解説:

法人の場合

  • 代表者の本人確認書類(免許証など)
  • 商業登記簿謄本、印鑑証明書
  • 2~3期分の決算書
  • 買取希望の請求書、契約書、発注書
  • 法人名義の預金通帳のコピー

個人事業主の場合

  • 代表者の本人確認書類
  • 2~3期分の確定申告書
  • 請求書、契約書、発注書
  • 事業用預金通帳のコピー

重要な注意点
「審査なし」「書類不要」と宣伝する業者はヤミ金の可能性が高いため、絶対に避けましょう。
正規業者は必ず書類提出を求めます。

Q15. オンライン完結型のサービスはありますか?

回答:
はい、近年は申し込みから入金まで全てオンラインで完結できるサービスが増えています。

解説:
面談や郵送が不要なため地方企業でも使いやすく、スピーディーに資金化できます。
必要書類もスキャンや写真データで提出でき、手続きが大幅に簡略化されます。
急な資金ニーズや少額請求書の頻繁な資金化に最適です。

Q16. 買取可能額はいくらからいくらまでですか?

回答:
会社によりますが、1万円程度の少額から、数億円規模まで幅広く対応しています。

解説:
少額の請求書でも問題なく利用でき、フリーランス向けに数万円単位を対象とするサービスもあります。
一方で、大手企業向けに数千万円~億単位の売掛金を扱える会社もあります。
自社の売掛金規模に応じて適切な会社を選びましょう。

コストと契約に関する疑問(「お金と契約の重要点」を解決)

この章では、ファクタリングを利用する上で特に重要な費用や契約内容について解説します。
悪徳業者とのトラブルを避けるため、必ず理解しておくべき法的用語やチェックポイントも紹介します。

Q17. 手数料の相場はどのくらいですか?

回答:
契約形態によって異なります。
2社間契約は8%~18%、3社間契約は2%~9%が一般的な相場です。

解説:

契約形態手数料が高い理由
2社間契約売掛先に通知せず取引を進めるため、ファクタリング会社が直接確認できずリスクが高い
3社間契約売掛先から承諾を得るため、リスクが低く手数料も低い

Q18. 手数料以外に発生する費用はありますか?

回答:
会社によっては、手数料以外にも登記費用や印紙代など実費が発生します。
契約前に総額を確認することが大切です。

解説:

  • 債権譲渡登記費用:2社間契約で登記が必要な場合に発生します。
    司法書士報酬と登録免許税を含め、6万~10万円程度が目安です。
  • 印紙代:契約金額に応じて変動します。
  • その他費用:出張費や事務手数料などを請求される場合があります。

「手取り額が想定より少ない」という事態を防ぐため、見積もり時に必ず確認しましょう。

Q19. 【最重要】償還請求権(リコース)とは?ノンリコースが絶対条件なのはなぜ?

回答:
償還請求権とは、取引先が倒産して売掛金が回収できなくなった場合に、ファクタリング会社が利用者に代金の返還を求める権利です。
これがある契約は、実質的に借金と同じです。

解説:

契約タイプ特徴
ノンリコース(償還請求権なし)売掛金回収不能時のリスクはファクタリング会社が負担する
リコース(償還請求権あり)利用者が代金を返済する義務を負い、借金と同じ性質になる

重要ポイント
貸金業の登録がない業者がリコース契約を結ぶことは貸金業法違反です。
必ず契約書に「償還請求権なし」「ノンリコース」と明記されているか確認しましょう。

Q20. 契約書で確認すべきポイントは?

回答:
特に以下の4点を必ず確認してください。

  1. 償還請求権の有無
  2. 手数料率と計算方法
  3. 手数料以外の費用
  4. 債権譲渡登記の要否

解説:

確認項目具体的チェック内容
償還請求権「ノンリコース」の記載があるか
手数料見積と一致しているか、算出方法が明確か
その他費用追加費用が全て記載されているか
債権譲渡登記2社間契約で登記を義務付けられていないか

疑問が残る場合はその場で署名せず、納得できるまで説明を受けてください。

安全性と注意点に関する疑問(「危険を避ける方法」を解決)

この章では、ファクタリングを安全に利用するためのリスク管理について解説します。
悪徳業者を確実に見抜くチェックポイントや、万が一のトラブル発生時の対応方法も紹介します。

Q21. ファクタリングの利用が取引先に知られることはありますか?

回答:
3社間契約では必ず知られます。
2社間契約では原則として知られませんが、「債権譲渡登記」を行う場合は知られる可能性があります。

解説:

  • 3社間契約
    売掛先からの承諾が必須なため、利用を秘密にすることはできません。
  • 2社間契約
    ファクタリング会社から取引先への通知はありません。
    しかし、「債権譲渡登記」が行われると、登記情報が誰でも閲覧できるため、結果的に知られる可能性があります。

秘匿性を重視する場合は、「2社間契約」かつ「債権譲渡登記不要」の会社を選びましょう。

Q22. 悪徳業者やヤミ金を見分けるチェックポイントは?

回答:
以下の8つの危険なサインのうち、一つでも当てはまれば悪徳業者の可能性が高いです。

危険なサイン解説
1. 法外な手数料2社間契約でも最大20%程度が相場。これを超える場合は危険。
2. 契約書が「金銭消費貸借契約書」正規は「債権譲渡契約書」。借金契約書を提示する業者は違法。
3. 償還請求権あり貸金業登録がなければ違法。最重要チェック項目。
4. 分割払い提案ファクタリングは一括精算が原則。分割は利息が発生する貸付行為と同じ。
5. 給与ファクタリングを扱う完全に違法なヤミ金行為。絶対に利用しない。
6. 審査なし・誰でもOK正規業者は必ず審査を行う。審査なしは危険。
7. 会社情報が不透明住所が架空、固定電話がない場合は要注意。
8. 契約書控えを渡さない証拠を残さない悪質な手口。

Q23. 「給与ファクタリング」は利用しても大丈夫ですか?

回答:
絶対に利用してはいけません。
金融庁は「給与ファクタリング」を貸金業と断定しており、無登録業者による提供は100%違法です。

解説:
給与ファクタリングは、将来の給与を債権と見立てて買い取るという名目ですが、実態は給与を担保にした高金利貸付です。
金融庁および最高裁判所はこれを違法と判断しています。

当サイトで解説するファクタリングは、事業者が持つ売掛債権を対象とした合法的な取引であり、給与ファクタリングとは全く異なります。

Q24. トラブルに巻き込まれた場合、どこに相談すればいいですか?

回答:
状況に応じて、以下の機関へすぐに連絡してください。

状況相談先
脅迫や危険を感じる場合警察(相談専用ダイヤル #9110)
法的な解決を目指す場合弁護士や司法書士(ヤミ金問題に詳しい専門家)
金融サービスに関する一般相談金融庁「金融サービス利用者相談室」

解説:
トラブルが発生した際は一人で抱え込まず、必ず専門機関に相談しましょう。
早期に行動することで被害を最小限に抑えられます。

まとめ

ここまで、ファクタリングに関する24の疑問に回答しました。
ファクタリングは正しく理解して活用すれば、事業のキャッシュフローを大きく改善できる強力な財務ツールです。

最も重要なポイントは次の一つです。

「契約が必ずノンリコース(償還請求権なし)であることを確認する」

これを守ることで、悪徳業者から自社を確実に守ることができます。
今後は、自社に合った信頼できるファクタリング会社を選びましょう。